となりの801ちゃん+

うちの妻が腐女子です

今話題の「成り上がり飯」を是非読んでほしいという気持ち。

頂き!成り上がり飯が面白いよ!っていう話。

頂き!成り上がり飯(1)【特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)

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■漫画の下にレビューを書いたので是非読んでください■



ジャーンジャーンジャーン

げえっ!801ちゃん

世界を…!


頂き!成り上がり飯、がとても面白いのでぜひ読んでほしいと思うんです。

頂き!成り上がり飯(以下成り飯)は、奥嶋ひろまさ先生原作のコミックリュウ連載中のヤンキー料理漫画で、801ちゃんゴリ押しイチ押しの作品です。
ヤンキーと料理漫画のマリアージュです。組み合わせからはイロモノみたいな感じがしますが、読んでみればわかる、かなり正統派のヤンキー漫画です。


頂き!成り上がり飯公式サイト
第1話試し読み

そもそもヤンキー漫画ってなにか。

ヤンキー漫画って「モラトリアム文学」だと思うんですよ。個人的に。
3年という時間がたてば失われてしまう世界で、その中で自分の存在を刻もうとする話。失われてしまうのが前提の話。そういう喪失感、虚無感がヤンキー漫画にはある。少なくともバックグラウンドとして存在する。そういう中で、ヤンキー高校のてっぺんを目指すっていう、夢というにはあまりにも刹那的ななにかにみんなが必死になってる。ここら辺はスポーツものにもいえるんですけれども、そういうモラトリアムの期間、その中でだけ通じる共通の価値観の中で、お互いの存在を認め合う話、だと思うんですよ、ヤンキー漫画の基本構造って。

とにかくむちゃくちゃ漫画がうまい。

で、そういう、モラトリアムとして許された世界の中でのヤンキー高校生活なんですけれども、これが、いい。
マジすか学園とか、カオルちゃん最強伝説とか、ヤンキー漫画でのお約束をちゃんと踏まえたうえで(メリケンサックを嵌めたら取れなくなったからメリケンって呼ばれてる最上級生とか)でも、そういうお約束ネタを(このストックキャラクターはこういうキャラクターだから説明しないでもわかるよな)みたいな省略の仕方をせず、ちゃんと、どういう人間かっていうことを丁寧に表現していて、でも冗長じゃない。
また、出てくるキャラクターが、「ああ!こういうキャラが!」という風に、かゆいところに手が届く感じで、ちょうどいいタイミングで出てくる。とにかくむちゃくちゃ漫画がうまい。これは実際に読んでみてもらわないと伝わらないんだけれども、本当に表現に過不足がなくて、キャラクターの魅力を引き立てるのに、過剰な演出ではなく気づかないくらいの細かい演出を重ねてどんどんキャラクターを立てていく感じ。そういう繊細な組み立てをしているのに、ギャグ部分は本当にはっちゃけていて、それなのに全体のバランスが保たれている。料理とヤンキーの喧嘩っていうブレブレになってしまいそうなテーマなのに、ものすごく安定している。
あと、登場人物に対してとても誠実で、ヤンキー漫画のテンプレとして出てくるようなキャラクターが多いのに、「テンプレでこういうキャラクターがストックで出てきます」っていうのではなくて、それぞれ「今まで累計なく出てきて初めて表現されます」というキャラクターみたいに、その人間の生活を描いてる。ストックキャラクターの性質描写(これこれこういうやつですよ、っていうの)は省略されがちで、それはストックキャラクターとして読者と作家に共有されているというのと、だからこそ、描写すると退屈になりやすいので(または過剰に書かれるか)になるんだけれども、成り飯では、それを普通に書いていて、そしてそれが退屈せずに読める。それはもう漫画がうまいからとしか言いようがないんだけれども、本当に漫画がうまいんですよ。


モラトリアムのヤンキー漫画とその外側について

モラトリアム。他の部活ものや、恋愛もの、そういうもの同じように限られた時間で限られたことを成す話ということで、同じようにモラトリアムなんですけれども、ヤンキーものの方が舞台装置的にモラトリアム度が強い。というのは、ヤンキーが接する現実というものが、ほかのモラトリアムものに比べて酷薄で辛いから。ヤンキーの家には現実問題として貧困家庭が多いんですけれども、そこら辺をごまかすことなく描いている。(大家族でマンション一部屋、毎日ソーメンとか)(親父がアル中とか)そして、それに対して、ちゃんとした解決が作中でなされない。おためごかしをしない。ただ、その毎日を友だちや仲間がいるから一日一日超えていくことができる、そういうギリギリの描写になっている。


成り上がり飯の飯ってなに?

で、ここまでが、この成り上がり飯、を語る前の前提条件です。
普通、モラトリアムなヤンキー生活に、さらに押し寄せる酷薄な現実まで描いたら暗くてきつい話になります。
でも、それを全部飲み込んで”明るく楽しい話”にしているのが、この成り上がり飯の”飯”の部分です。
主人公のケニーは、学園のテッペンを目指すヤンキーでもあるけれども、ちゃんとしたモノを食ってない人間にご飯を食べさせるのが好きなオカン体質の人間で(決め台詞は「俺は1年B組のママになる!」)とにかく気が付けば飯を作るんですけれども、それによって、何かが解決する…わけではなく、ちょっと心の置き場が変わるくらい。ただ、そのちょっと心の置き場が変わるというのが、現実を生きていくうえですごい大事で、それによって辛いこととかも乗り越えていけるわけで。
ケニーのご飯というのは、ヤンキー漫画における、『喧嘩をした後、相手の意志や心をくみ取って仲間になる、仲間にならないまでも相手を認める、っていう回』または日常回で、ケニー自身がてっぺんを目指す戦いっていうのは、基本的に喧嘩の勝敗で進んでいくんですが、ご飯を食べることによって『相手を認めるっていうところや相手の気持ちを汲ん』でいるので、ウェットにならずに、明るいテンションのまんま、仲間として結びついていく。ヤンキー漫画として本当に離れ業だと思うんですよ、本当に漫画がうまい。


生活する、生活のクオリティをあげるっていう基礎の部分に”ちゃんとご飯を食べる”というのがあります。でも”ご飯を作れるのは資本で、ちゃんとした家庭で育たないとご飯をちゃんと食べるという習慣や技能が身につかない”という現実もまた、あります。卵が先か鶏が先かですけれども、結局、その輪から抜け出せないのはその輪から抜け出せないから、っていうどうしようのない現実がある。


成り上がり飯ってたぶん、そういうのを表に絶対に出さない部分のテーマにしているんじゃないかな、って思うところがあって、例えば、ご飯漫画なんだけれども、カップ焼きそばを否定しないんですよ。あと、素そうめんも否定しない。ご飯を美味しく食べる、味わうということを重要視していて、”食としての正しさ”というのは、そこまで重要視されてない、気がする。


成り上がり飯は、モラトリアムとしてのヤンキー漫画、ヤンキーを取り巻く酷薄な現実、貧困と食の問題、とそういうシリアスな部分も扱いながら、全体としては「ただのヤンキーギャグマンガ」として存在をしている。これはものすごいことですよ。本当に漫画がうまい。




これ、比較的重めなことがテーマになってる回です。



という風に自分は思うんですけれども、801ちゃん曰く、とにかくあっくんの顔がいいのが100万点で、あっくんの顔がいいから、ぜひ成り上がり飯を読むべきということです。
ハマりたてのころの801ちゃんはもっと語彙を使って作品を推していたのに、あっくん……罪な男……


あっくんです(頂き!成り上がり飯 2巻16ページより)

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説明必要?


必要だろJK……


801ちゃん「鼻梁がね!本当に美しい鼻梁なの!超美しい鼻梁の持ち主なんだよ!」

801ちゃん「沿道からね、「あっくん、顔が良いー!」って叫びたい。あっくん顔が良いうちわを作りたい」

801ちゃん「ただ単に顔がいいわけじゃないんだよ。圧があるの、圧のある顔の良さなの」




こちら、成り上がり飯の公式サイトがあり、こちらから試し読みができるので、ぜひ1話読んでみてください。
www.comic-ryu.jp

第1話試し読み



宇宙の果て

汎用性の高いお願いしますアイコン


頂き!成り上がり飯 5 (リュウコミックス)

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