となりの801ちゃん+

うちの妻が腐女子です

JUNEは滅びぬ!何度でもよみがえるさ!!




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ずっと801ちゃんがいっている言葉に、「JUNEは人生、BLはコミュニケーション」っていうのがあって、昨日からの801ちゃんやその友人の話や栗本先生に関するエントリを読んで、ああ、本当にそうだったんだなあ、って思いました。こんにちは、チベです。


昨年末に801ちゃんの祭壇に祭られている須和先生の復刻の単行本が出たんですが、当時、体を悪くしていて告知ができずじまいでした。


ずいぶんと発売の時期からは遅れてしまいましたが、今日ここで告知させてもらいます。





サミア (CITRUS NOVELS)
サミア (CITRUS NOVELS)門地 かおり

宙出版 2008-12-09
売り上げランキング : 14147

おすすめ平均 star
star懐かしい作家さん
starとても切なく、忘れられない作品
star凄く良いです

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この本は801ちゃんが人生で初めて読んだJUNE小説だそうです、これでとても救われたそうです。


二日連続で失礼します、801です。


今日で最後なので私の神さまの話をさせて下さい。


神さまの名前は、須和雪里先生、


栗本御大の小説道場出身の作家さんです。


 


先日復刻された『サミア』は私が人生で一番最初に手にとったJUNE小説でした。


まだ萌えや萎えに晒される前の、心の柔らかい頃のことです。


 


12歳の夏休みでした。


日課の図書館通いで、いつものヤングアダルトコーナーで、


西炯子先生の表紙に惹かれて、手に取りました。


裏返してあらすじを読んで、ハッとしました。


たぶん、これは今まで読んでいた男女のどうこうではない。


ちょっとなんか知ってるけど、知ってるけど、良いのかだめなのか。


頭ではそう思いながらも、手は抱えていた本の一番上にのせました。


帰って一番に読もうと思っていたティーンズハート文庫の『ティファニーでつかまえて』の表紙の


ヘップバーンの格好をしたサキちゃんの顔が隠れたのが後ろめたかったのをやけに覚えています。


夕方になって家に帰り、ご飯を食べて、お風呂に入って、


唯一の自分だけの場所だった二段ベッドにもぐりこみました。


髪が濡れたままで、本が濡れてしまうと思って、タオルを枕に敷きました。


 


枕のタオルで顔を何度もぬぐいました。


初めて物語で嗚咽をあげました。ショックでした。


自分より年上の、当たり前に粗雑でナイーブな少年の想像もつかない物語、


もちろんフィクションだと分かっているけれども、


何故だかすごく近くにいるような気がして、魂が鷲掴まれた気がしました。


でもその鷲掴んだ手は爪はやさしくて、本当にやさしくて、やさしいことが悲しくて泣きました。


次の日、ヤングアダルトコーナーに残っていた須和先生の本を全部借りました。


次のお小遣いの日、十日に一度もらえる500円と、


貯めていた小銭を持って『激闘横恋慕』を買いました。


 


どの物語にも、粗雑でナイーブで欠けた少年が苦しそうに溺れながら息をしていました。


傷ついた人たちの傷ついた物語、それは私に息をさせてくれました。


誰も優しくしてくれない、イライラしてどれを触っても痛くて怖かった。


でも何が優しくないのか、どれが痛いのか怖いのか分からなくて、


本当に毎日ぐるぐるしていました。


そんな私に須和先生の物語の少年たちは優しくしてくれました。


だから私は読みました、泣きました。そして助かりました。


思春期でした。


今思えば誰かの傷でしか癒えない傷が思春期には必ずあったのだと思います。


わたしの傷は少年たちの傷で癒えました。


亮、熾竜、聡、一実、栄、赤川くん、星野、百ちゃん、元明、七生、秋広、橋本先生、


ほかにも沢山いました。女の子だって沢山いました。


救われる少年もいました、救われない少年もいました。


みんな自分の傷で私を癒してくれました。


あの子たちがいなければ、私は大人になれませんでした。


私を大人にしてくれたのは須和先生の少年たちでした。


こんな物語を書く人は、書かねば死んでしまうかもしれない人だろう、


そしてこんな物語を読む人は、読まねば死んでしまう人だろう。


私は読みました。


死にませんでした。


 


何度か先生にお手紙を出そうと思いました。


普段友だち同士で送りあう便箋は恥ずかしくて、


初めて大人のようなレターセットを買いました。


白鳥の型抜きがしてあるきれいな便箋でした。


書き始めてから二時間、レターセットの便箋は全部なくなりました。


最初は丁寧にきれいな字で書いてあった文章は、どんどん筆圧が強くなり、


なぜか自分のことばかり書いてしまっていました。


全部破って捨てました。


自分の澱を先生に押し付けるようなことをするところでした。


手紙を書くことはあきらめました。


 


そうしていつの間にか心も硬くなって、萌えを覚えました。萎えも覚えました。


強い刺激の中、毎日が楽しくて仕方がありませんでした。


そのうち彼氏が出来ました。15歳でした。


彼氏というのは、恋人というのは、


熾竜のような、一実のような、星野のような、元明のような、秋広のような、


心の一番どうしようもない部分を救って撫でて自分で立てるようにしてくれる人だと思っていました。


でもそうじゃありませんでした。


それでもいつか、自分にとっての熾竜が一実が星野が元明が現れると思いました。


誰も現れませんでした。


いろんな人と出会って別れました。


でも誰も現れませんでした。


男の子と付き合うのは楽しかったり悲しかったりしたけれども、


あの子たちはみんな物語の人物なのだと思い知りました。


じゃあそれなら、二次元の方がうんと楽しい、そう思いました。


いつの間にか先生は作品を出されなくなりました。


 


時代がどんどん変わっていきました。


気づくと、商業JUNE,BL小説をほとんど読まなくなりました。


 


そのうち大人になりました。


チベくんと出会いました。


チベくんが鬱になりました。


すぐにチベくんの元へ行き、一緒に住むようになりました。


チベくんは日に日に削れていきました。


見えないものに溺れてもがいていました。


何度浮き輪を投げても掴んでくれませんでした。


私も誰もチベくんを助けることが出来ませんでした。


 


冷たい海をひとりでざぶざぶ行くような毎日でした。


毎日どこにも救いがなくって、助けることも出来ず、誰にも助けてもらえず、


チベくんが眠ってから毎日床を磨きました。ワックスが剥げました。


床を磨いて、テニミュを見て、空元気を出して、ご飯を作って、洗濯をして、泣いて過ごしました。


少しずつ溺れていきました。やっぱり誰も助けてくれませんでした。


 


あるとき、近所のブックオフで須和先生の本を見つけました。


実家に置いてきてしまった、愛しいタイトルが並んでいました。


7冊くらいだったと思います、全部買いました。


いつも通り、チベくんが眠れたか確認してから、お台所で読みました。


久しぶりに出会った少年たちはまだ同じ場所で傷ついて癒されて傷ついてを繰り返していました。


涙が出ました。


少年たちは変わらずやさしくて悲しくて強くありました。


思春期は気づけなかったけれども、少年たちは強くありました。


そして彼らはやっぱり私を助けてくれました。


彼らはいつだって本の中にいて、目の前に現れなくても、


傍らで一緒に傷ついたり癒されたりすることに気づきました。


毎晩、台所でテニミュを流して須和先生の本を読みました。


床を磨かなくなりました。


 


それからずいぶん経って、チベくんの調子が良くなったり悪くなったりを繰り返して、


結婚したり仕事を辞めたりなんだか色々ありました。


全力疾走でした。人生で一番めまぐるしい時間でした。


そしてある時、宙出版からひとつの報せが届きました。


須和先生の物語を宙出版で復刻させるということ、


須和先生がお元気で生きてらっしゃるということ。


本当に失礼なことですが、須和先生がご存命とは正直思っていませんでした。


あんな優しい物語を書かれる人にとって、世界は棘で出来ていると思っていました。


本当に失礼なことだと思います。申し訳ないです。


 


泣きました、電話口で編集さんが困ってしまうくらい泣きました。


須和先生が生きているこの世界がうれしくて素晴らしくて、


先生の書かれたものがまた世の中に出ることが本当にうれしくて泣きました。


大人になって一番泣きました。


救われたような気持ちになりました。


がんばれると思いました。


そんなのは勝手な一方的な思い込みです。


それでも、あの少年たちを世の中に送り出した


須和先生の生きている世界が本当に眩しくてうれしくて、泣きながら小躍りしました。


 


現金な話ですが、宙出版が大好きになりました。


それまで正直苦い思いもありましたが、宙出版でチベくんが本を出したのが奇跡だと思いました。


編集さん伝いに須和先生が801ちゃんを知っていると知って、更に泣きました。


それから一ヶ月近く、思い出し泣きが止まりませんでした。


これが二十歳過ぎて何年も経った大人の姿かと思うくらい泣きました。


右目の下に一本くっきりとシワが出来るまで泣いてから、


いい加減シワなんか出来たら消えてくれない年齢だと気づき、慌てて泣き止みました。


そのくらいには大人になっていました。


 


書店に復刻された『サミア』が並びました。


表紙は門地先生に変わっていました。


門地先生のお住まいがどこなのか分からないけれども、


お住まいの方向に土下座でお礼がしたくなりました。


綺麗になりました、サミアが本当に綺麗になりました。


あの頃のサミアもきれいでしたが、緑の中で目を閉じるサミアは本当にきれいでした。


手が震えました。


すでに宙出版から貰っていたというのに、一冊買ってしまいました。


次の書店でも一冊買いました。


その足で会う約束だった友だちにプレゼントしました。


友だちは少し困った顔で「しかたない」と言いました。


 


これが私の神様の話で、これが私にとってのJUNEです。


私という人間の気持ち悪さは本当にどうしようもないと思います。


こんなことを書きながらも、


JUNEもBLも百合もノマもおっぱいもニョタもフタナリも2次も2.5次も3次も


全部おいしいですwwwwwwフヒヒwサーセンwwwwwwww


 


神様と、神様の生み出した少年たちのおかげで、私は今日もなんとかやってます。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


まゆきのような大人になって、


聡に迎えに来てもらうという手もあったなあと、今思いました。(病気)











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須和雪里先生オリジナル刊行物リスト


 


☆入手可能


宙出版


・サミア 


 (角川ルビー文庫版とは掲載作品が違います)


 ※宙出版作品詳細





☆現在絶版(大体古書店で手に入ります)


角川ルビー文庫


ツー・ペアきまぐれボーイズ★オススメ★


1 激闘横恋慕


2 ミッドナイト・レベリー


3 アウト


4 ダブル・パンチ


5 寮長はそれをがまんできない


6 少年純情ハート


 


いいからほっとけ!シリーズ★オススメ★


1 キャプテンにおまかせ!


2 お前に三行半!


3 おでましキューピット


 


爆走ボーイズ★オススメ★


1 誰にもやらない


2 エンドレス・キス


3 ロンリー・ダイナマイト


 


ナイト・ラビリンスシリーズ


1 ダイヤモンド・タイフーン


2 シークレット・ブルー


3 ドリーミング・シャドー


 


・短編


サミア(宙出版版とは掲載作品が違います)


タブー


あいつ


悲しきヒーロー


夢の宮 光の宮 


 


■麗人ノベルス


変態天使シリーズ★オススメ★


1 変態天使の純情


2 変態天使に花束を


 


小学館パレット文庫


少年たちの恋愛事情 ツイン・スクランブル


 


■ピアス・ノベルス


愛は地獄を突っ走る


モザイクリング